火災で全焼した首里城を再建するため、沖縄県のみならず、日本政府もすでに動きを見せています。
しかしその過程には、いろんな課題が立ちはだかっています。
そのうちのひとつに、赤瓦と漆喰職人の数が圧倒的に足りないという点が挙げられます。
今回は、首里城再建のために必要な赤瓦と漆喰職人、さらに修復費用面の課題について調べてみました。
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技術力と資源を確保するには時間が必要!
首里城の復元にあたっては、技術的な課題が山積みになっています。
独特の赤い瓦が印象的な首里城ですが、以前に復元した時には、沖縄屈指の赤瓦職人と言われた奥原祟典さんが中心となって、正殿の55000枚を含む、合計22万枚の赤瓦を焼きました。
もちろん一人ですべてを実行したのではないのですが、リーダーである奥原さんの力が圧倒的に大きかったのは間違いありません。
しかし、その奥原さんは、5年前にすでに他界しています。
首里城の復元を経験している人材がいなくなっているため、 また新しい人材の確保からスタートしなければならないのです。
また、赤瓦の確保もそう簡単にはいきません。
赤瓦を葺くのは、漆喰の技術を持った職人の手によることになります。
でも今は、赤瓦を扱える職人は年々少なくなっていて、僅かに存在している職人たちも高齢化が進み、50代くらいが中止です。
以前、首里城の復元に関わった職人たちは、すでに80歳に達しています。
高齢な上、すでに復元の現場を離れているのです。
彼らには経験があるので、今回復元に関わる人達のサポートに回ることはできるでしょう。
しかし、実際に手を使って復元に関わることは期待できません。
あくまでも経験を言葉で伝えるサポートなのです。
かつての復元に関わった職人に頼ることができないのであれば、若い世代の職人を育てるしかありません。
しかし、きちんと施工できる職人になるには、3年から5年は必要と言われています。
首里城のように規模が大きく、技術的にも高いものが求められる現場で通用する職人を確保するのは大変なのです。
修復するための費用面も課題!
11月6日の閣僚会議で、安倍総理大臣はこのようにコメントしました。
「必要な財源を含め、政府として責任を持って全力で取り組んで参ります」
政府は、首里城の復元事業の総事業費は、240億円にのぼることを算出しました。
もちろん首里城には火災保険がかけられているのですが、その限度額は70億円と言われています。
瓦礫の撤去や周辺設備も必要なので、修復に関わる人件費や修繕費も高騰しています。
結論として、再建するためには200億円以上は必要と見られているのです。
これだけの費用を首里城の再建に当てるという安倍総理の発言に対し、反発する声が上がっています。
台風19号で被災した人々です。
被災地では未だに家屋の修復や泥水の除去に追われていて、3000人を超える人々が避難所生活を余儀なくされています。
浸水した1階の汚泥はまだ完全には取り除かれていませんし、屋根瓦が吹き飛ばされているため、雨のたびに雨漏りがしています。
いつになったら元通りの生活が送れるのか、先が見えない状況なのです。
台風によって苦しい生活を強いられている人々がいるのに、建物を再建するのに予算を割くという総理の発言に、異論を唱えているのです。
まとめ
今回は、首里城再建に当たるための課題について記事にしました。
首里城の完全修復を目指すためには、技術的にも資源的にも、また国家予算の使い道としても課題が山積みです。
誰もが幸せになる道が見つかれば良いですが、なかなか難しいのが現実です。
特に予算の使い道は、どこかで折り合いをつける必要があります。
こういう時こそ、国民全員が立ち上がり、募金などで少しでも費用面の協力することが大切ですよね。
たった10円でも、いや1円でも、塵も積もれば山となり、大きな力になりますからね。